中耳炎とは?
中耳炎とは中耳に液体が溜まることで、風邪をひいた時などに鼻の中に腫れが生じ、耳管が閉塞されることで鼓膜の後ろに液体が溜まることを意味します。この液体が細菌などに感染すると鼓膜を圧迫し痛みや熱を引き起こします。これが急性中耳炎です。
原因
中耳炎の原因には様々ですが、ウイルス感染によったりタバコの煙を吸い込むこと、横になって哺乳ビンを使用すること、おしゃぶりを使用すること等があります。 頻繁に中耳炎にかかる子供も、大抵4才位になると頻度が減ってきますが、中耳炎を頻繁におこす場合はインフルエンザ予防接種を毎年受けることをお勧めします。小学校高学年以上で頻繁に中耳炎にかかる子供は、キシリトール (Xylitol) 入りのガムを噛むと中耳炎にかかる率が減るといわれています。
症状
中耳炎によくみられる症状は耳の痛みです。大きな子供であれば痛みを訴えることもできますが、小さい子供の場合は耳を痛がって普段より機嫌が悪くなったり、泣いてばかりいるようになります。横になったり、食べたり、飲んだりという動作で耳の中の圧が変わり痛みが増しやすいので、食欲が落ちたり、寝つきが悪くなります。その他の症状としては、発熱、身体の平衡感覚を失う、難聴、鼓膜に穴があき黄色や血の混った膿のような耳垂れなどが見られることもあります。耳をひっぱる動作はたいてい中耳炎とは関連していませんし、耳の痛みや機嫌の悪さも、中耳炎以外にのどの痛みや歯のはえ始め、水泳で耳に水が入るなどが原因で起こることもあります。
治療
Amoxicillin (ペニシリン系の抗生物質) が中耳炎の治療に一番よく使われる薬です。他の抗生物質に比べて中耳炎の原因となる菌に対し効果的とされています。薬を飲み始めてから2~3日経っても症状が全く改善しない場合は、他の抗生物質に替えることもあります。これは、子供がペニシリンに「抵抗」を持っているという意味ではありません。いちどペニシリンが効かないことがあったとしても、中耳炎の原因となる細菌はだいたいきまっていますので、その後の中耳炎でも大抵 amoxicillin から治療を始めます。最近では以前よりも多めの量を処方する医師が増えてきました。1回の服用量が増えていたとしても、処方された薬は必ず指示通り最後まで服用してください。
痛みや熱にはアセトアミノフェン (Tylenol) やイブプロフェン (Advil/Motrin) などを必要に応じて使って下さい。痛みを緩和するのに熱くしぼったタオルを痛い耳にあてるのも効果があります。鼻詰まりには Saline nose drops と呼ばれる点鼻液や加湿器を使いましょう。(21歳未満は、ウイルス性の風邪などの時にアスピリンを服用することでライ症候群 (Reye's Syndrome) にかかる心配がありますのでアスピリンは使用しないでください。)
いつ病院に連絡すべきか?
中耳炎治療のために抗生物質を始めてから効果が出始めるまでには大抵3日程かかります。3日経っても改善がみられない場合は他の抗生物質が考慮されるかもしれません。熱や機嫌の悪さ、痛みが3日経っても改善しなければ病院に連絡して下さい。
医師によっては炎症や感染が完全に治ったかを治療後に再度診察する場合もあります。中耳炎の治療が完了した後も中耳に液体が溜まったままということもありますが、それが良くなっていくことを確認するためなので、医師の指示通り診察を受けて下さい。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は、中耳炎によって生じた液体によるものです。普通は、症状を伴わないことが多く、あったとしても軽い耳の聞こえの悪さ程度です。たいていは、薬の治療はせず3ヶ月ほど経過を観察します。
抗生物質治療で、中耳の液体を早めに改善させることは可能です。3ヶ月経っても液体が残っている場合は耳鼻科を受診し、場合によっては耳に管を挿入し液体を取り除くことで、聴力の回復や、今後の中耳炎による合併症を軽くするようにします。
なぜ抗生物質はいつも必要でないか?
抗生物質は時によってアレルギー反応やその他の問題を起こす事があります。人間は鼻の中や消化器系に身体にとって必要な細菌をもっています。例えば、摂取した食物を分解し消化するのも細菌です。抗生物質服用により身体に必要な細菌まで殺してしまうことがあり下痢等の症状をおこします。通常、身体に必要な細菌が欠乏すると悪い菌が増えて病気をおこすこともあります。更に、抗生物質を頻繁に服用すると身体の細菌がそれに抵抗力を持ってしまい、将来重度の感染症にかかった時に治療が困難になる可能性が出てくるのです。
どの治療がよいかは医師の判断になります。ウイルス性の病気や風邪などには抗生物質は効きません。医師、両親が協力して今後薬に耐性を持たないようにしなければなりません。風邪の後中耳炎の合併症をおこすかどうか家で経過観察するのは楽なことではありませんが、抗生物質の乱用は個人にとっても地域にとってもよくないことなのです。