静岡FM-UMプロジェクトファカルティー
故マイク D. フェターズ医師は、家庭医療学研究者であり、ミシガン大学家庭医療学科教授ならびに同大学日本家庭健康プログラムの創設ディレクター。静岡FM-UMプロジェクトの主任研究員として、ミシガン大学と静岡家庭医養成プログラムファカルティーの協力のもと、家庭医療研修におけるベストプラクティスの発展に取り組んでいる 。また、長年にわたり、倫理問題、文化が日本人患者の医療における意志決定に及ぼす影響、および研究方法論の観点からの混合研究法の応用に関心を持っている。家庭医療、医学教育、倫理問題などの分野で数々の学術論文発表や分担執筆を行っており、日米比較にまつわる著作も多い。また、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、医療研究品質局(AHRQ)や民間財団の助成を受けた混合研究法を用いた10の研究に主任研究員または研究法主任として従事。混合研究法ワークショップも多数開催。アメリカ国立衛生研究所 (NIH) の混合研究法ガイドライン作成のための全国分科会の一員を務めた経歴を持つ。2015年から2022年まで、混合研究法の学術雑誌 Journal of Mixed Methods Researchの編集委員を務めた。長年にわたる精力的なプライマリ・ケア研究活動及び指導活動が称えられ、2023年には、Society of Teachers of Family Medicine (STFM)のCurtis G. Hames Research Award を受賞。同年、ミシガン大学のMichigan Institute of Clinical and Health Research (MICHR)より Distinguished Clinical and Translational Research Mentor Awardを受賞。2023年夏、ミシガンの自宅にて永眠。
平野〈リトル〉早秀子医師はミシガン大学家庭医療学科准教授及び日本家庭健康プログラム(JFHP)の現ディレクター。慶応義塾大学医学部を1988年に卒業後、同形成外科医局に入局し、初期、後期研修を終了。形成外科研修の一環として、一般外科で2年間、耳鼻咽喉科で2年間研修。慶応大学病院形成外科のチーフレジデント終了後、通算3年間済生会中央病院にて形成外科指導医として勤務した。また、慶応大学およびミシガン大学で、通算5年間に渡り、創傷治癒に関する基礎研究を行い、これに基づき、2005年に医学博士号を慶応義塾大学より取得。2001年にアメリカに移住後、オークウッド家庭医学レジデンシーにて家庭医学研修を受け、2008に卒業と同時にアメリカ家庭医学専門医を取得した。卒後より、ミシガン大学家庭医学科にて医学生および研修医の教育に携わる。診療内容は、幅広く、新生児から小児、成人、老年にいたるまで診療をしている。特に妊娠・出産・婦人科系疾患・外来手術および手技に力をいれており、産科病棟での出産も行う。また、ミシガン大学形成外科外来にて、創傷外来を週一度行っている。
若井俊明医師は、ミシガン大学家庭医療学科助教授及び現在静岡FM-UMプロジェクトの主任研究者を務める。弘前大学医学部卒業。UPMC Shadysideにて家庭医療レジでシーを修了。診療内容は、幅広く、新生児から小児、成人、老年にいたるまで診療をしている。特に新生児、小児医療に力をいれており、日本語での診療も行っている。家庭医療診療における継続的な質改善にも関心がある。
エリック・スカイ医師は、ミシガン大学家庭医療学科准教授および同学科教育プログラム副主任。同学メディカルスクール統合トピックスディレクターとしても活躍。チェルシー地域病院理事も務める。医学プログラムおよびカリキュラム開発ならびにファカルティー・ディベロプメント(指導医育成)において幅広い経験を持つ。研修プログラム前ディレクターとしての経験を活かし、米国家庭医療学会の研修プログラム問題解決組織(Residency Program Solutions organization)の教育コンサルタントを務める。国際的には、日本ならびにガーナでも、医学プログラムならびにファカルティーディベロップメントに取り組んでいる。また、プログラムおよびカリキュラム設計に関する学術的活動は、医学教育の全段階に及ぶ。プレゼンテーション内容には、医学生のプリセプティングの改善のためのニーズアセスメントおよびファカルティー・ディベロプメントプログラム、研修およびフェローシッププログラムにおけるカリキュラム設計、アセスメントおよびオンラインカリキュラムにおける イノベーションの実践が含まれる。さらに、ミシガン大学家庭医療学科のプログラム効果を評価するための新しい評価法の開発に協力し、医学生涯教育プログラムの発展に尽力。
ミシガン大学日本家庭健康プログラム 指導医
ミシェリーン・ハシカワ医師はアメリカに生まれ育った日系三世。アナーバーのミシガン大学を卒業後、シカゴのロヨラ・ストリッチ医科大学に入学。M.D.習得後の研修医プログラムは、広範囲の家庭医療ができる医師を目指すために、農村地域での医療が学べるトラバースシティにあるミシガン州立大学農村地域プログラムを選ぶ。なかでも、産科研修には力を入れ、卒業までに150人余りの新生児を取り上げる。研修期間中に静岡県にある日本でも数少ない家庭医療研修プログラムを訪れ、日本人のレジデント達と共に働く機会に恵まれる。この来日で、日本の家庭医療にも関心を持ち、研修医終了後はミシガン大学家庭医療科で臨床指導医として勤務。現在は、家庭医として一般診療に加え、産科医療及び新生児ケアチームの一員として働いている。患者のなかには日本からの駐在員やその家族もおられるので、その場合は日本語で対応している。プロジェクトとして、災害への備え及び対策などにも家庭医の観点から取り組んでおり、地域に貢献したいと考えている。
清田綾乃医師は、ミシガン大学家庭医療学科助教授。幅広い患者層を診療するが、特に老年医学及びホスピスと緩和ケアにおける専門知識を持つ。2019年11月にアメリカホスピス緩和医学アカデミーのフェロー(FAAHPM)、2020年5月にアメリカ家庭医学アカデミーのフェロー(FAAFP)の学位を取得。現在リボニアヘルスセンターを拠点にしており、チェルシー退職者コミュニティや入院患者向けの緩和ケアプログラムでも診療を行う。
カール・ルー医師は、1993年にカリフォルニア大学サン・ディエゴ校(UCSD)で医学学位を取得後、1996年 に UCSD にてレジデンシー修了。その後カリフォルニアにて10年間開業診療所に勤務。2006年よ り、ミシガン大学家庭医療学科に移り、現在同学科ならびに泌尿器科で 助教を務める。新生児、小児科、思春期、成人男性/女性、老年、また、全ての 年齢層に対して予防医療を 提供。男性医療および泌尿器科に関心を持つ。日本家庭医療プログラムチームの一員としてアナーバー ドミノズファームズにあるミシガン大学家庭医療クリニックにて診療を行う。バイリンガル臨床診療を提供すると同時に、医学生および医師の研修にも取り組んでいる。 また、ミシガン大学チェルシー家庭医療クリニックにて家庭医療研修医の指導も行う。医学書物の編集 に熱心で、米国家庭医療学会の月刊障害医学教育(CME)誌 FP Essentials の副編集長を務める。
来日指導医-他大学
ベンジャミン・クラブトリー教授は医療人類学者であり、ニュージャージー医科歯科大学(UMDNJ)(2013年7月よりラットガース大学生物医学・保健科学部)ロバート・ウッド・ジョンソンメディカルスクール、家庭医療・地域保健科教授および研究部長。 現在、ニュージャージー癌研究所でがん予防管理プログラムの共同ディレクターを務める。クラブトリー教授は過去25年間、家庭医療学におけるプライマリケアの研究者として活動しており、時系列分析や対数線形モデルから深層面接、事例研究、質的分析方法まで幅広いトピックを含む質的、量的方法に関する200以上の論文や書物の出版に貢献してきた。クラブトリー教授は、質的研究の専門知識に精通していることで知られており、現在第二版が出版されている「Doing Qualitative Research」(ウィリアム・ミラーと共同編集)をはじめ、多くの質的研究分野の書物を執筆している。また、共同研究チーム作りに関する書物「Exploring Collaborative Research in Primary Care(プライマリケアにおける共同研究を探求する)」の主任編集長でもあった。クラブトリー教授は、医療研究・品質調査機構(AHRQ)およびアメリカ国立衛生研究所(NIH)から助成受けている複数の研究プロジェクトの主任研究員として、複雑系科学概念に基づいた概念的枠組みを用いた、プライマリケア医療の質の向上のための組織改革戦略を検証している。2009年には、アメリカ国立癌研究所から5年間の上級研究者助成金(K05)を授与された。
ミシガン大学スタッフ
本原理子 MA, LMT はミシガン大学家庭医療学科臨床研究上級コーディネーターであり、静岡FM-UMプロジェクトのコーディネーターを務める。プロジェクト関係の交流活動の調整・補助や翻訳およびその他の事務を担当。ジェンダーと医療の社会学を学び、異文化間の医療や米国における医療とジェンダーなどにまつわる研究プロジェクトに複数関わってきた経験を持つ。現在はマッサージ・セラピストとしても活動中。